バレエを始めてまず変わってくるのは、姿勢です。
姿勢をバレエ向きに、美しく整えていくことが、バレエレッスンの第一歩と言えるでしょう。
人間の脊柱(背骨)は、S字カーブを描いています。
バレエでは、真っ直ぐな背中をつくるために、腹筋と背筋を使い上体を引き上げ、脊柱のS字カーブを出来るだけ少なくさせます。
「バレエを習うと姿勢が良くなる」と言われている理由はここからきています。
また、たるんでいたお腹や背中が引き締まり、美しいラインもつくられます。
初めは努力が必要ですが、繰り返しレッスンすることで、どなたでも身に付けることが出来ます。
美しい姿勢と上半身を保つためには、の中心軸となる体幹の筋肉(脊柱起立筋)は欠かせません。
体幹の深層にある脊柱起立筋を、普段から意識出来ている人は少ないのではないでしょうか。
上体を反らせたり、左右に伸ばしたり、バランスを保とうとすることで、脊柱起立筋を意識的に収縮させることが出来ます。
機能的に、バランス良く、脊柱起立筋を鍛えるために、バレエはとても良いトレーニングになります。
背中が丸くなり、顔はうつむき気味、このような姿勢では心も内にこもりがちになってしまいます。
姿勢が良くなると…
など、体にとって様々な良い効果をもたらします。
肩がどのような構造になっているかを理解して、日常生活やレッスンのときに少しだけ気遣いをすれば、
首と肩のラインがすっきりとし、女性らしくなってきます。
頚椎、鎖骨、肩甲骨、第一肋骨、この4つの骨格により、
肩と首のアウトラインが構成されています。
平均的な日本人は、肩甲骨の上部が、
第二あるいは第三肋骨の高さに位置しています。
なで肩の場合は、肩甲骨の上部が第三肋骨に近いか、
それよりも下に下がった状態にあります。
また、第二肋骨に近いか、それよりも上に上がった状態になると、
いかり肩になります。
肩関節は、肩甲上腕関節、肩甲胸郭関節など、
5つの関節の集まりです。主に、肩甲上腕関節が中心となり、肩を動かしています。
肩関節は球関節のため、可動域はとても広くなっています。
参考:ポール・ドゥ・ブラ port de bras(腕の運び)
私たちが直接触れることが出来る、三角筋や僧帽筋、広背筋をはじめ、
肩関節を安定させているローテーターカフなど、様々な筋肉があります。
肩甲骨は鎖骨、上腕骨と接合しているため、
肩関節の動きに大きく関わってきます。
胸郭と直接接合しているのではなく、
腕の動きに伴い、肩甲骨は胸郭の上を滑るように動いています。
肩の上下運動を自由に行うためには、
肩甲骨がどこにあるのかを意識することが大切です。
肩がいかり肩のように張っている場合や、
自由に動かせない場合は、成長期に身に付いてしまった姿勢や、
肩甲骨の上部に不必要な筋肉がついている場合、
ズレによるものなどが、理由として考えられます。
毎日のストレッチや、肩を下げる習慣を付けることで、
少しずつ肩の位置、首から肩にかけてのラインを、
改善していくことが出来ます。
長い時間をかけて身に付いてしまった体の癖を、
一日で治すことはとても難しいです。
毎日、首や肩のストレッチをして、
筋肉を伸ばしていきましょう。
運動もそうですが、ストレッチも続けることにより、
効果が得られます。
「お腹は引き上げて、肩は下ろす」・・・バレエのレッスンでは、このイメージがとても大切です。常に肩を下ろすことを意識しています。
そのため、肩の表層に広がる僧帽筋は、
使用頻度が減ることで小さくなり、
肩の位置が本来よりも下がり、首がスッと長く見えます。
バレエの正しい姿勢を身に付ければ、
首と肩のラインがすっきりとしてきます。
脚は使わなければ細くなりますが、 使いながら細くしていくためには、 体幹と下肢の並び方を正していくトレーニングが必要です。
バレエでは、キレイな脚のラインをつくるため、
常に上体を引き上げて踊っています。
そのため脚にかかる負担が少なくなり、
その状態で筋肉を動かすことによって細く、
長くなっていきます。
上体が引き上がっていると、
脚は軽く感じ、楽に動かせます。
プリエのときに上体が前に倒れていたり、
腰が引けたままだと、大腿四頭筋という大きな筋肉に負荷がかかり、
余分な筋肉がついてしまいます。
脚への負担を少なくするためには、上体の姿勢を良くし、
正しいやり方を身に付けることが必要です。
今まで脚に負担をかけていた人も、
これらを見直すことで、それが筋肉の動きのパターンとなります。
バレエらしい脚、そして美脚に近づけるには、
外側の大きな筋肉を使わないように心がけましょう。
ターンアウトされた状態で脚を動かせると、
内転筋群(脚の内側の筋肉)をより使えるようになり、
大腿四頭筋(脚の外側の大きな筋肉)への負担を軽減することが出来ます。
脚を上げる時も、呼吸を止めたり、
膝や股関節が緊張して太ももの前後に力が入ると、
使いたくない筋肉までが動き、
脚が太くなる原因になってしまうので気をつけましょう。
肩の周辺には、僧帽筋や肩甲挙筋、
三角筋など様々な筋肉があります。
これらの筋肉は、重い頭や腕を支えているため、
常に大きな負荷がかかっています。そのため、筋肉が疲れて疲労物質がたまり硬くなります。
筋肉内の血流が悪くなり、十分に酸素がいきわたらないと、
疲労物質を排出しづらくなり、どんどん悪化していきます。
これにより、肩が重く感じられ、凝りが発生します。
長時間のデスクワークや猫背は、
頭の重心を前に移動させてしまうため、
正常な姿勢よりも肩にかかる負担が多くなります。
バレエの基本姿勢は、肩への負担を軽減させてくれます。
肩こり対策として、正しい姿勢を維持すること、普段から運動することが大切です。
肩関節をよく動かすように心がけ、肩周りの筋肉をつけましょう。
バレエのような全身運動は、さらに大きな効果を発揮します。
いつまでも健康で丈夫な下半身を保つためには、足腰の筋力強化が効果的です。
私たちは、親指と小指の付け根、踵の3点で全体重を支えています。
中でも足裏の筋肉である足底筋は、この3点を結束する連結バンドとして、とても重要な役割を果たしています。
足底筋が発達して始めて、身体をしっかりと支えて、安定して床に立つことが出来ているのです。
足底筋とは足裏の筋肉のこと。
歩いたり立ったりすることで、衰えている足底筋に能力以上の負荷がかかると、わずかな傷が出来たり、疲労の原因となる乳酸がたまってきます。そのため足がつる、だるいなどの症状が現れます。
一時的な回復としては、40度以下のお風呂にゆっくりと入り、マッサージなどをして血行を良くする、などといった方法がありますが、長期的に見れば、足底筋を鍛えることが一番の解決法です。
日常生活で、足指の腹をしっかりと床につけることも大切です。
バレエでは、タンジュやフラッペ、シャンジュマン、ドゥミポアントからポアントまでの動作など、足底筋を鍛えるには十分なメニューが多くあります。
バレリーナが舞台上で凛とした立ち姿でいられるのは、足底筋の発達により安定して自分の体重を支えられるためです。
高齢で、骨粗鬆症の人が転倒すると、簡単に骨折し、それが寝たきりの原因になってしまいます。
バレエには、足腰を強化させたり、バランス感覚を身に付けたり、足関節を安定させるなど、転倒予防に最適なメニューが多くあります。
一般的なスクワット運動は、下肢に負荷をかけて筋肉を強化させます。
しかし、バレエでのスクワット運動=プリエは、上体を引き上げながら行い、反動をつけないため、外側の筋肉への負担を減らしながら、内転筋などの足腰を強化することが出来ます。
両足、片足のとき、脚を上げたときなど、バランスは微妙に変化しています。
それは体の中心軸が移動するためです。
バレエレッスンにおいて特徴的であるバーレッスンは、バランス感覚を習得するためにはとても効果的です。
倒れそうになったらすぐにバーにつかまり修正する、これを繰り返すことであらゆる動作、その時々のバランスを体が覚えていきます。
つま先を上に上げたとき、足関節は固定された状態になり、足が横方向にはゆれません。
しかし、つま先を下げると足関節がやや不安定になり、左右にも内や外にも、かなり広い範囲で動くようになります。
私たちは歩くとき、踵から地面に着いていますが、急いで歩いているときは、無意識につま先が伸び内向きになってしまいます。
すると、足関節が不安定な状態になり、転倒してしまうのです。
バレエでは、常にターンアウトさせてつま先を伸ばしたり、つま先で立っても親指側や小指側にいかないように、足関節を固定させています。
そのため、安定した足関節がつくられていきます。
O脚は40~50代あたりから強くなります。
高齢になると、腫れや痛みをともなう症状が現れる場合があります。
O脚には、それぞれタイプがあり、治すトレーニングもタイプによって違ってきます。
例えば、骨盤の後傾によるO脚は、骨盤を正しい位置に戻し、股関節と膝のラインを整え、内転筋を鍛えれば、改善されます。
バレエでは、内転筋を使う立ち姿勢が多いため、O脚の矯正に適しています。
O脚だからといって、脚だけに目を向けるのではなく、全身を見てみましょう。
O脚のタイプは様々ですが、骨盤が後ろに倒れていると、膝は自然と外に向きます。
この状態を改善しない限り、O脚はさらに強くなってしまいます。
骨盤を正しい位置に戻し、股関節と膝のラインを整え、正しい立ち姿勢を手に入れましょう!
O脚の場合、大腿四頭筋(脚の外側の筋肉)が張り、内転筋群(脚の内側の筋肉)が弱いことがほとんどです。
大腿四頭筋はストレッチやマッサージで良く伸ばし、内転筋群はトレーニングで筋肉をつけるようにしましょう。
バレエは、内転筋群を使った動きが多いため、効率よくトレーニング出来ます。
どのスポーツでも、もちろんバレエも、柔軟性はとても大切です。
柔軟性が上がり、関節の可動域が広がると、パフォーマンスの向上やケガの予防につながり、筋肉の緊張による老化現象を防ぐことも出来ます。
柔軟性をアップさせ、バレエを長く楽しみましょう!(参考:カラダ硬くてもバレエは出来ますか?)
閉経の前後(45歳~55歳)をいいます。
閉経が近づくと、徐々に女性ホルモンが減少し、月経周期のバランスが乱れてきます。
そして、閉経を向かえると、卵巣ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減ります。
その変化に心と体が対応出来なくなり、様々な不調が現れます。
これを、更年期障害といいます。
など症状は人それぞれで異なり、軽い人もいれば重い人もいます。
無理なダイエットやストレスなどが原因となり、女性ホルモンの分泌が乱れることで、20代~30代の女性でも、このような症状が現れることがあります。
閉経後のエストロゲン分泌の減少を防ぐことは出来ませんが、20代30代から定期的な運動やトレーニングをしておくことで、急激ではなく緩やかな減少に変えることが出来ます。
今のカラダのためにはもちろん、将来のためにも、バレエでカラダを動かす習慣をつけましょう。(参考:女性ホルモンについて)
クラシック音楽に合わせ、優雅にカラダを動かし、ときには物語りの主人公を演じたり、バレエは日常生活とは違う非日常的な世界なのです。
言葉は使わず、すべて自分のカラダで表現します。
バレエで求められる表現力こそ、ストレス発散そのものです。
喜びや悲しみなど、心を開放させて思いっきり表現してみましょう。
きっと、バレエを踊る楽しみを感じられるはずです。
Copyright Tani Momoko Ballet. All Right Reserved.(当サイトが提供する情報等を、権利者の許可なく複製、転用、販売などの二次利用をすることを固く禁じます。)